スイーツ王子は、お菓子のようには甘くない!

第2話 契約のお付き合い?

 ○学校・昼休みの屋上


 透夏(とうか)「……はあ~~~」


 昼食のお弁当を広げながら、透夏は重たいため息を吐き出した。


 バイト禁止なのにバイトしていることが、学校の王子・朔夜(さくや)にばれてしまった。
 その秘密を守る代わりに提案された条件。

 それがまさか――


 透夏(スイーツ王子と付き合う、だなんて……)


 透夏「本当に、なんでこんなことに……」
 朔夜「そりゃあ、オレに利がある話だからね」
 透夏「うわあ!?」


 誰もいないと思っていた屋上で、突如背後から現れた朔夜に飛び上がる。


 透夏「あ、天宮(あまみや)先輩……! なんでここに!?」
 朔夜「他人行儀(たにんぎょうぎ)だな。名前呼びでいい。付き合ってるんだし。それになんでかって、彼女と飯食いたいからに決まってるだろ?」

 透夏「彼女、って……!」
 朔夜「彼女だろ?」


 透夏「実際には壁にされてるだけじゃないですか!」


 じろりとねめつける透夏。
 その視線を受けても朔夜は薄く笑ったままだった。


 朔夜「そういう契約(けいやく)だろ?」
 透夏「それは……そうですけど。でも天宮先輩がそういう風に思わせぶりなことばかりするから、こっちは大変なんてものじゃないんですけど!?」


 透夏は今日一日、嫉妬(しっと)(さげす)みの混じった視線を痛いほど受けていた。
 その原因は間違いなく朔夜との関係が噂になったからである。


 直接何かをされたわけではないが、透夏の顔を見にきては鼻で笑って帰っていく人が絶えなかった。


 朔夜「仕方がないだろ。それが目的なわけだし」
 透夏「ぐっ……」

 朔夜「嫌なら、解消する? それで困るのは、あんただと思うけど」
 透夏「……いいえ」

 朔夜「よし」


 透夏(本当に、なんでこんなことに……)

 契約の内容を思いだす透夏。

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