スイーツ王子は、お菓子のようには甘くない!


 対応(たいおう)に困っていると男子組が料理をもって帰ってくる。
 机に置くと、それぞれ隣に座る形に。


 朔夜「ずいぶんと盛り上がっていたみたいだが、なんの話をしていたんだ?」
 雪「え~? 二人はどこまでいっているのかって話~?」

 朔夜「……あんたなぁ。誰が教えるかよ」
 雪「え~? 残念~。ま、冗談(じょうだん)はさておき……」


 雪は座った朔夜にラッピングされた小さな袋を手渡す。


 雪「はい、これ。遅くなったけど、プレゼント」
 朔夜「急だな」

 雪「いらない?」
 朔夜「いや、もらう。サンキューな」

 透夏「プレゼント? なんの?」


 雪「なんのって、誕生日プレゼントだよ?」
 透夏「…………誕生日?」


 雪の言葉に血の気が失せていく透夏。


 透夏「誕生日、って、いつ……?」



 雪と誠二郎もその空気を察知(さっち)して焦りだす。


 雪「まって朔夜。あなた、もしかして……」


 気まずそうに頬を掻く朔夜。


 朔夜「あー。ちょうどケンカしていたタイミングだったし、その後風邪ひいて……」
 雪「つまり伝えていないってわけね」

 朔夜「まあ、そうなる。だがオレは透夏がいてくれるだけで……」
 雪「ない。ないわー朔夜。ありえないわ。見なさい透夏ちゃんを!!」



 雪が指さすのは何も用意できなかったことにショックを受け放心(ほうしん)状態の透夏だった。
 小声で「今からでも何か買って……。いや作って……」とつぶやいている透夏を誠二郎が必死にフォローしている。


 雪「ほら見なさい! 恋人の誕生日なんて一大イベントを伝えていないとか、わたしだったら激怒するわよ!?」
 朔夜「いや、だが」

 雪「だが、じゃないわよ! 大事な相手なんだから、祝いたいに決まってるでしょ! もしも朔夜が透夏ちゃんの誕生日を知らずにすっぽかしていたら、どんな気持ちよ?」
 朔夜「……ぐ」


 小さく悲鳴(ひめい)を上げる朔夜に雪は(あき)れた。


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