スイーツ王子は、お菓子のようには甘くない!


 ○遊園地内(夕暮れ~夜)
 昼休み後もしばらく遊んだ後、そろそろ陽も沈んできて夜景(やけい)がきれいに見えだした。
 場内の様子もどことなく大人な雰囲気(ふんいき)を帯びだす。
 トイレ休憩(きゅうけい)に行っていた透夏と雪は、化粧(けしょう)を直しながら話をしていた。


 雪「そろそろ目玉のパレードが始まるみたいね! わたしは近くで見てみたいけど、観覧車から見るのもキレイなんだって!」
 透夏「そうなんだ! うーんそれはどっちも気になるね。でもせっかくなら高いところから見てみたい気もするかも」


 透夏は景色を眺めるのが好き&観覧車が気になっていた。
 そういう透夏に、雪は何かを思いついた顔をした。


 雪「そっか、分かった。じゃあここからは別行動にしない?」
 透夏「え?」

 雪「ここのパレードね、ランダムで流れ星演出があるんだって!」
 透夏「流れ星演出?」

 雪「そう! ドローンを飛ばして流れ星みたいに見せるみたいなの」
 透夏「へえ、ロマンチック……」

 雪「しかもね~」


 雪はそっと耳打ちしてきた。


 雪「それを一緒にみた人とは、ずっと一緒にいられるんだって!」
 透夏「!」

 雪「観覧車とか高いところで探した方が見つかりやすいっていう話と、地上から眺めたほうが見えやすいって話があるから、どっちがいいかはわかんないけど、どうせだったら二手に別れて探すのもアリじゃない?」


 透夏はその申し出に勢いよく首を縦に振る。
 そのジンクスにはぜひともあやかりたかった。


 雪「よし! じゃあお互いがんばろ! まあそれがなくてもロマンチックな夜景だろうしね。楽しんで!」


 雪はほほえんで、化粧を終えると、外で待っていた誠二郎の腕を引いて走っていった。




 朔夜「なんだあいつ。出てきたと思ったらすぐ走っていきやがった」
 透夏「……な、なんだろうね」


 二人きりになると、途端(とたん)に意識してしまってうまくしゃべれない。


 朔夜「……まいいけどな。こうして透夏と二人きりになれるなら」
 透夏「……うん、そう、だね」


 いつもどうやって話していたっけと考えていると、朔夜に手を取られる。


 透夏「朔夜くん?」
 朔夜「繋いでいたい。ダメ?」

 透夏「!」


 っじっと見られていることに気がついた透夏、徐々に赤くなっていく。


 透夏「ダメ、じゃない」
 朔夜「よかった。……なあ、ついでに行きたい場所あるんだけど」

 透夏「どこ?」
 朔夜「アレ」

 透夏「!」


 朔夜が指さしたのは先ほどまで雪と話していた観覧車だった。


 朔夜「ここの観覧車、眺めがいいんだ。特に夜景はきれいに見えるらしい」
 透夏「そ、うなんだ」

 朔夜「高いところとか、狭いところは平気?」
 透夏「あ、うん」

 朔夜「そか。じゃあ行こうぜ」


 自分から誘うよりも早く行きたい場所に誘われ、あっという間に観覧車の乗り場へとついてしまう。
 気がついたら、観覧車のキャストさんに見送られてドアを閉められるところだった。


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