有名小説作家の彼氏に別れを告げると全力で拒否された
「別れ話した直後に上の空ってどういうこと?」


丸テーブルを挟んで向かい合うふたり。そう、私は今、付き合って1ヶ月目の彼氏に別れを告げた。


「すみません。ボーッとしちゃって。23歳の私と、30歳のルイさんとじゃ、やっぱり合わないです」

「年齢なんて気にしないって告白をオッケーしてくれたのに。俺、遊ばれちゃった?」


わざとらしくシュンとするその気だるそうな表情も。

細くて長い手足に色白の肌。薄いフレームの眼鏡の奥のタレ目も。抑揚のない話し方も。

本当に私好みの男性で。

ポツポツと降っていた小雨が、急に強くなって屋根を叩きつけるような雨音に変わる。

ああ、今日から梅雨入りするかもって天気予報で言ってた。
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