有名小説作家の彼氏に別れを告げると全力で拒否された
「じゃあ、私は帰ります」

「……雨が降ってるよ」

「濡れたい気分だから、ちょうどいいです」


立ち上がって、バッグを持つ。

ああ、やっぱり雨はキライだ。これから先、別れたこの瞬間を雨を見るたびに思い出すから。


「さようなら」


顔も見ずに、靴をはいて玄関の扉を閉めた。

折り畳み傘をバッグから取り出して、広げても意味がないくらいの大雨。

本当に濡れたい気分だったからいいや。


「泣いても分からないもんね……」
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