線香花火が落ちるまで、君と最初のキスをする


そんなの嫌だよ

せっかく2人で花火してるのに


最後の思い出なんだから




「…俺、さ」



「彼女できたんだよね…」



聞きたくないから先に言った

喉がカラカラに乾いて、手が震えると同時に私の線香花火が落ちて消える



「言ってくれたらよかったのに、私にだけ教えてくれないなんてひどいよ幼なじみでしょ?
昔から、なんだって話してたのに…」



「は…?ちょっとまてよっ」



道は驚いたような顔をして私を見つめてきた


もう、ずっとずっと抱えてた気持ちが言葉になるまでにいろんな装飾をつけて溢れ出す




「甚平も似合ってるね、毎年私服だったのに今年は彼女とデートだったから?気合い入りすぎじゃない?
でもすごくかっこいいよ」



「なんの話して…」



「なのにさ、私のとこなんか来て…だめだよ
戻ってちゃんと彼女送ってあげないと…夜道危ないし」



「鈴!聞けって…っ!」



「っ…いやっ!聞きたくない!!」



咄嗟に塞いだ耳に自分の声が篭って聞こえた

同時に目から涙が溢れて頬を伝う



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