線香花火が落ちるまで、君と最初のキスをする



「花火大会より大切な用事ってそれかよ」



その人影は私の持っている袋を指さして不機嫌そうに言った


なんで…

なんでここにいるの?



「まさか、夏休み中俺の誘い断ってたのもそれが理由じゃねぇよな?」



「…えっと、」




何とか言い訳を考えてみるけど、この袋がちゃんとした理由になるとは思えなくて言葉につまる


ズカズカと近寄ってきて人影の姿が鮮明になった時




「答えろよ、なんで俺の事避けてんの?」



「さ、避けてなんか…
それよりなんで道がここにいるの?
…あと、それなに?」




月明かりに照らされて道のことがしっかり見える


紺色の甚平姿で
右手にヨーヨーと金魚、りんご飴
左手にはなんだかいい匂いのする袋が大量だし


おまけに頭には昔私が好きだったキツネライダーのお面までつけて、持ちきれなかったのか腕にはキャラクターものの袋に入った綿あめまでもっている



な、なにしてるの道…

どこから突っ込んでいいのかわからず困惑していると道はそれら全てを私の前に差し出した。




< 9 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop