《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
なぜ彼だと思ったのだろう。
けれどルグランとは気配が異なることに気づく。
目隠しをされているので、部屋に立ち入りユフィリアのそばに膝をついた人物が誰なのかを知ることができない。衣擦れの音と、女性ではない体躯と気配を感じる。
後ろ手に拘束された縄が解かれたとき、無骨な手がユフィリアの手に触れた。
目隠しと猿轡《さるぐつわ》が外され、目を細めたままの僅かな視界に入ったその人物は、表情を殺したレオヴァルトだった。
「教会に隠れて金銭を受け取ったのだから、自業自得だな」
ユフィリアを見下ろしながら目を眇《すが》め、レオヴァルトは少し呆れたふうに言う。
「それは、ちがっ……誤解よ……!」
「誤解とは?」
「うんと、その……」
もしも「イザベラに嘘をでっち上げられた」と釈明すれば、レオヴァルトは信じるのだろうか。