《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
「とにかく誤解は誤解なの。というか、なんで来たの……?」
「罪深い聖女が懲罰室で泣きわめいていると聞けば。仮にも私は婚約者だし、放っておけないだろう」
「泣きわめいてなんか……ないから。っていうか、どうやって入ったのよ……鍵、かかってたでしょう」
確かに施錠が外されている。
しかしレオヴァルトの手元や周囲を探っても、鍵らしきものはどこにも見当たらない。
「私が有能な《魔法》の使い手だからとでも言っておこうか」
貴族出身の聖騎士でも魔力を持つ者は少ない。
逆に没落貴族出身者でも魔力によって《魔術》を操る者だからこそ、希少な黒騎士としての生業を保っている。
けれど魔術はあくまでも攻撃性を持つものであって、施錠された扉を開ける平和な魔術なんて聞いたことがない。
「理解が追いつかないんですけど。そういえば昨日は花とか出してたよね? てっきり手品かなんかだと……あれも魔術?」
「説明はあとで。誰かに見られると厄介だ、さっさとここを出よう」