《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
ユフィリアは思案を巡らせる。
——もしかしてこのエロ黒騎士も《無能》扱いされてる……?
というか《無能》? 魔法で鍵を開けたり花とか鳥とかは出せても、肝心の魔術が微弱とか?
妄想がむくむくと膨らんでいく。
この男、実は《無能な聖女》のグラシアを強大化させるためにあてがわれただけの《無能な黒騎士》なのではないか。
もしもそうなら、彼へのこの待遇にも納得がいくというものだ。
──黒騎士のくせに魔術が微弱だなんて、本人は惨めでしょうね……。
レオヴァルトがいくらいけすかないとは言え、ちょっと気の毒になってしまう。
「あんたってば……ここで食事とか、ちゃんともらえてる?」
「私のことはいいから」
そこに座れ、と、顎でベッドを示される。
「ベットは、ちょっと……。その椅子に座ってもいい?」
──万が一ってことも、あるし。
手を引かれるまま、のこのこ付いてきてしまったものの。ユフィリアは出会って間もないレオヴァルトのことをまだよく知らない。
いけすかない。
子供好き。
エロ。
顔だけはいい。
そもそもレオヴァルトは金銭目当てでしか動かない荒くれ者ばかりと知られる黒騎士だ。本性だって読めない。
──この椅子なら扉にも近い。
もし襲われたら、急所を蹴っ飛ばして逃げてやる……!