《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
「この部屋、東側なのね」
昼間だというのにひどく暗く、頬にふれる空気もひんやりと冷たい。壁だって塗りっぱなしで、ところどころ塗装が剥げている。
「昼間は日が差さないからな。暗いだろう?」
レオヴァルトは壁掛けの洋燈に目をやると、狙いを定めて手をかざした。
──ボッ。
驚いたことに遠隔で瞬時に火が点いた。
「……今の、何……っ」
ユフィリアは目を疑ってしまう。
「もしかしてあんた、本物の……詐欺師?!」
「……バカなのか」
今度はレオヴァルトが呆れ顔で呟いた。
「それに《あんた》はやめろ。私の名はレオヴァルトだ」
「レオヴァルトでもレオでもいいけど……っ。それを言うなら……私だって《おまえ》じゃなくて、ちゃんとユフィリアって名前が……あるんだから」
ユフィリアは半分うわの空だ。