《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
言い終わらぬうちに、すっ、と文机を離れたレオヴァルトがユフィリアの目の前に立つ。そしてユフィリアの手を取ると、抵抗する間も与えず手の甲にそっと唇を寄せた。
突然感じた柔らかくて冷たい感触。レオヴァルトの伏せたまつ毛は翼のように長かった。
「ちょ、何をっ!?」
驚いて手を引っ張るも、長い指先に掴まれていて逃れることができない。包まれた手からレオヴァルトの手のひらの熱が伝わってくる。
そんな状態で怜悧な眼差しがじっと見つめてくるものだから……ユフィリアも自《おの》ずと大きく目を見開いた。
「こんな礼儀ですまないが、困っているんだ。助けて欲しい」
「真面目に助けて欲しいなんて言われたら……断れなくなるじゃない……」
戸惑う視線を泳がせながら、声は尻すぼみになっていく。
こんな調子で見つめられてはたまらない。あまつさえ、この男は無駄に顔がいいのだ。