《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
「いつもなら黒騎士を呼んだって小一時間はかかるってのに」
「今日はやたら来るのが早かったよ?!」
「中央大聖堂お抱えの黒騎士だって」
「ありがてぇ……被害が少なくて済む!」
「三人来るって聞いたけど、他の二人はまだみたいだな」
「あのひと、一人で大丈夫なの?!」
高みの見物を決め込む人々が口々に囁いた。
その最中も、鼠型の魔獣とレオヴァルトの攻防戦は続いている。
疾走を続ける馬の背の上で、上半身を起こしたレオヴァルトは手綱を手放した。
両手を胸の前で重ね、瞬時に唱えられた詠唱がまばゆい閃光もたらす。手中に集められた黄金の光はレオヴァルトの胸を覆うほどの剛健な弓と矢にカタチを変えた。
『グオオオオオオオオ────ッ!』
苛立ちが限界を迎えたのか、鼠が禍々しい雄叫びをあげて自担駄を踏む。
続け様に何度も大鎌を振り下ろすが、レオヴァルトの馬は疲労の色も見せずに周囲を走り続けていた。
黄金の鋭い双眸が標的を捉える。
────ビュン!