《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
レオヴァルトの手技は鮮やかだった。
集結させた魔力を纏った矢が放たれ、閃光と化した矢は刹那、大鼠の額の中央──急所に命中した。
ブオン、と大きな鈍い音とともに鼠の肢体が黄金の光に覆われる。
「すげえ……あの距離を一発で当てやがった」
「見てっ。あの人の魔力、黄金色《きんいろ》だよ? 初めて見た……すごく綺麗……」
見惚れていた町人の中の誰かが、何かに気づいたふうに慌てて周囲に向かって叫んだ。
「みんな下がるんだ、《穢れ》を浴びてしまうぞ……!」
「《穢れ》が来るよ! みんな下がって」
背後で抱き合っていたふたりが急いで立ち上がり、遠巻きの人々の中に身を潜めた。
レオヴァルトが馬の足を止めて魔獣を見据える。
魔獣の動きが完全に封じられたのを確認すると、手のひらを翳して《滅びの言葉》を静かに唱えた。
「カルセロス」