《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
レイモンド・ラーリエの黒い策略
「レイモンド司祭様!」
真新しい聖衣を纏った神官が、勢い良く扉を開けて転がり込んだ。
中央大聖堂の筆頭司祭・レイモンド・ラーリエ卿は、自室で教会の収支報告書を睨みつけている最中であった。
「なんだ、騒々しい」
短く切り揃えた白髪混じりの黒髪から覗く、睨みを効かせた薄灰色の瞳はそのままに、レイモンド卿は収支報告書から神官へと視線を移す。
「そっ、それが……大変申し上げにくいのですが、聖女ユフィリア様が……」
「ユフィリア?」
その名を聞いた途端、レイモンドの双眼が憎々しげに眇められた。
「いっ、いらっしゃらないのです……ちょ……懲罰、室に……」
管理の不行き届きを咎められるとでも思ったのだろう。新人らしき神官は青ざめた顔でぶるぶると震えている。