《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
「……あうぅっ!」
痛みに堪えきれず漏らした声も、背中を打ちつける鞭の音に掻き消されてしまった。
けれど、名前も知らない貧民街の少年にもらった手紙の文言だけが、ひっそりと、ユフィリアの消えてしまいそうな精神力を支えていた。
『めがみさまに、おねがいがあります。ぼくがおとなのおとこになったら、ぼくとけっこんしてくれますか?』
このまま、消えてしまいたいとさえ思う。
こんな苦痛と屈辱に耐えねばならぬのなら、いっそ死んでしまった方がいい。
……けれど。
『もしもめがみさまがおよめさんになってくれたら、おとうさんや、いもうとや、となりのやさしいおばさんのけがやびょうきを、いつでもなおしてくれるよね?』
──私を……待ってる、人たちが、いる……から……
『へんじは、つぎにきたときにおしえてください。くるのを、まってます』