《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
──今はまだ、終われ、ない…………。こんなところで、終われない。私は……《鳥篭》の外に出る……まだ見たことがない鳥篭の外の世界が見たい。そして……もっと多くの人たちと出逢うんだ……。
せめて《痛み》という感覚を消し去れたらいいのに。
自分を万能だと言った、あの魔法使いなら──レオヴァルトなら。この痛みすらも消せるのだろうか。
そんなことを、ふと思った。
「アアアッ!!」
堪えても堪えても、激痛に悶える背中と声はどうしようもなく。
『くるのを、まってます』
『くるのを、まってます』
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少年の手紙の文言を、ユフィリアはただひたすら頭の中に巡らせていた。
どれくらいの時間が経ったろう。
とても長かったように思えるし、それほどでもないのかも知れなかった。
バン、と大きな音がして、施錠されているはずの部屋の扉が乱暴に蹴り開けられた。ユフィリアの背後に立っていた黒い影──レイモンド卿が、鞭を握ったまま振り返る。
辿々しい足音がしたと思えば、ゴスッ、と鈍い音とともに黒い影が床に倒れ込む。突然侵入してきた人物に殴りつけれたのだ。
──レ、オ……?