《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
白薔薇の筆頭聖女
どうぞと言えば、赤毛を一つに束ねて編んだものを肩から垂らした少女が遠慮がちに扉を開けて顔を覗かせた。グレースの愛すべき頬のそばかすは今日も可愛いと、ユフィリアは柔らかく微笑む。
「背中の傷の具合はどう、傷まない?」
正直——痛い、すごく痛い。
けれどそう言えば大切な治癒の力を使ってくれたグレースを傷つけてしまう。
「ううん、平気! グレースのおかげですっかり治ったわ」
笑顔で両肩をぐるりと回して見せれば、そばかすの頬が嬉しそうに緩んだ。
「グレースこそ、私の背中にグラシアをいっぱい使ってくれたんだもの……今朝はまだ辛いでしょう?」