《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
「そっ、そんなのただの絵本だもん。信じてなんかないよっ。ほら……昨日はちょっと、眠れなくて」
そっか! と言いたげに慌てて絵本を卓上に戻し、グレースがユフィリアの寝台のそばにやってくる。
「……背中の傷の具合はどう、痛まない?」
正直——痛い、すごく痛い。
けれどそう言えば大切な治癒の力を使ってくれたグレースを傷つけてしまう。
「ううん、平気! グレースのおかげですっかり治ったわ」
笑顔で両肩をぐるりと回して見せれば、そばかすの頬が嬉しそうに緩んだ。
「グレースこそ、私の背中にグラシアをいっぱい使ってくれたんだもの……今朝はまだ辛いでしょう?」