《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!

「綺麗な髪をまとめちゃうのは勿体ないけど、ツインテールはユフィのトレードマークだもんねっ」
「みんなには『聖女のくせにぶっ飛んでる』って言われてるけど?」
「他人《ひと》にどう思われようと全然気にしないのがユフィでしょ……!」
「ちょっとグレース? 私、これでも繊細な心の持ち主なのよ」

 ふふっ! と互いに笑みがこぼれた。
 ユフィリアが満足そうな笑顔を作る。言葉を交わさなくても、グレースとならいつだって気持ちが通じ合っていた。

 グレースが部屋を去ると、
「やばい、午前の礼拝に遅れそう……!」

 背中の痛みに耐えながら着替えに奮闘していると、何やら窓の外が騒がしい。
 気になって覗くと、十名ほどの人びとが純白の聖衣をまとった聖女を囲んで雑談している。身なりの整った彼らは貴族だとすぐにわかった。

 ——朝っぱらからレイモンドの金儲けに利用させられた聖女がいるのね。


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