《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
「……ていうか、待ってたっていつから?」

 ユフィリアの言葉には応えず、ユフィリアを見もせずに、男は歩みを早めた。とにかく両脚のコンパスの長さに差がありすぎるので、ユフィリアは必死で歩かなければ追いつけない。

「も、もうちょっとゆっくり歩いてっ。待ってたくせに置いてくの?」
「…………」

「ねぇ、無視する気?」
「煩《うるさ》い、黙って歩け。礼拝が始まってるんだ」

 男の威圧的な物言いに辟易してしまう。
 ユフィリアが礼拝に遅れようが遅れまいがこの男には関係ない。
 そもそも、穢れを帯びた黒騎士を伴って神聖な教会の廊下を歩く日が来るなんて、想像もしていなかった。

「ねぇ」
「…………なんだ」
「あんたも没落貴族出身なの?」
「何の話だ」
「黒騎士と話した事なかったから、ちょと興味あって」



 
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