《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
いつもは元気に跳ねているユフィリアのツインテールは、しゅんと萎《しぼ》んでいた。
大聖堂に祀られている聖《セント》ファラエル神の彫像が、嫋《たお》やかな表情でユフィリアたちを眺めている。
「頭を下げて、目を閉じなさい」
八十六歳の御代を迎えられた老齢の大司祭様の、荘厳とも言える声が心地よく響いた。
言われるままに目を閉じ、頭を下げる。
もうどうにでもなれと、自暴自棄を決め込んだユフィリアには、何が起ころうとしているのかを考える余裕すら消え失せていた。
大聖堂の隅々まで見渡した大司祭様は、こほんと小さく咳ばらう。
「皆の者、安心なされよ。ここに居る黒騎士の穢れは、すでに聖《セント》ファラエル神の御許において祓われている。今後は教会と聖女ユフィリア・ダルテへの忠義を誓う者として、ここに立つ黒騎士は聖騎士と同等の待遇を与えられるものとする。すなわち聖騎士と対等に扱われると心得よ。」
——どういう事……っ