《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
ファラエル神の彫像前に組まれた巨大な祭壇には、穢れなき心を誓う純白のマランの花が飾られていた。その中の一本を手に取った大司祭様が、それをユフィリアとレオヴァルトの頭上に翳す。
「我、ルグリエット・ミラ・ファラエルは、聖《セント》ファラエル神の名において、ここに黒騎士レオヴァルト・ヴァルドフと聖女ユフィリア・ダルテの婚約を認めるものとする」
——なんですって……?!
瞬時に大聖堂の空気がざわめいた。
中央大聖堂に属する聖女が王族、聖騎士以外の——ましてや黒騎士との婚約が認められるなど、前代未聞に等しいからだ。
顔を上げて祭壇の奥を見れば、勝ち誇ったように口角を上げ、不適な笑みを漏らす筆頭司祭レイモンド卿が見えた。
ユフィリアが婚約を拒むのなら、聖職者たちの面前で既成事実を作ってしまえばいい。大司祭様からの聖なる宣誓を受けたともなれば、ユフィリアの一存で婚約を逃れるのはもう不可能だ。
——嵌められた。
ユフィリアがそう理解するのに、時間はかからなかった。
「我、ルグリエット・ミラ・ファラエルは、聖《セント》ファラエル神の名において、ここに黒騎士レオヴァルト・ヴァルドフと聖女ユフィリア・ダルテの婚約を認めるものとする」
——なんですって……?!
瞬時に大聖堂の空気がざわめいた。
中央大聖堂に属する聖女が王族、聖騎士以外の——ましてや黒騎士との婚約が認められるなど、前代未聞に等しいからだ。
顔を上げて祭壇の奥を見れば、勝ち誇ったように口角を上げ、不適な笑みを漏らす筆頭司祭レイモンド卿が見えた。
ユフィリアが婚約を拒むのなら、聖職者たちの面前で既成事実を作ってしまえばいい。大司祭様からの聖なる宣誓を受けたともなれば、ユフィリアの一存で婚約を逃れるのはもう不可能だ。
——嵌められた。
ユフィリアがそう理解するのに、時間はかからなかった。