《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
 王族の衣服を纏った青年は腹を貫かれ、すでに虫の息であった。
 ユフィリアは、聖女が持つ治癒の力を必死で注ぎ込みながら涙目で見下ろす。
 そんなユフィリアの頬を指先で撫でながら、青年は断末魔の言葉を残して目を閉じた。

「ユフィリア……愛してる」
  
 亡骸となった夫の頭部を胸元に抱え込むように抱きしめる。
 ユフィリアの泣き叫ぶ声が、漆黒の闇の中に響いた。


「なぜ……なの?」

 ——どうして、《《また》》こうなった。

「私が、あなたのそばにいた……から?」

 指先で夫の頬に触れれば、まだあたたかかった。
 涙で濡れそぼった長い睫毛を伏せると、夫の額にそっとくちづけを落とす。

 ——あなたを愛したから——。




꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳




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