《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
カタツムリさながらの遅い速度に歩調を合わせながら、レオヴァルトがユフィリアにちらりと視線を向ける。ユフィリアの長い睫毛は相変わらず下を向いていて、猫のような丸い瞳を半分隠していた。
「推しの大司祭様に……情けないとこ、見られちゃった……」
「ふっ、無能のレッテル貼られてる聖女が、今更そんなことで落ち込むな」
不意に立ち止まったユフィリアは、改まってレオヴァルトに向き直ると、背高いレオヴァルトをすっくと見上げた。
驚いたのはレオヴァルトだ。これまでは胡乱な目を向けてくることはあっても、ろくに視線を合わせようとしなかった聖女が自分を仰ぎ見ている。
「ごめんなさいっ」
ぶん、とツインテールが大きく揺れる。ユフィリアは腰を折りたたむようにして頭を下げた。