《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
イザベラの登場に驚きの表情を見せたユフィリアだが、すぐに目を反らせた。
湧き上がる感情を抑えようと唇を噛み締めている。
そんなユフィリアの反応を楽しむように微笑みながら、イザベラは尚も続けた。
「この婚約。ユフィリアのあまりに微弱なグラシアを、教会が案じてのはからいでしょうけれど? まさかあなたに先を越されるとは思っていなかったわ。私のグラシアは今でもじゅうぶん強力だから、結婚は急がなくてもいいってレイモンド叔父様はおっしゃっているけれど……私たちも婚約の宣告日を少し早めようかしら? ねぇ、ルグラン様っ」
ぴったり寄り添う聖騎士に甘ったるい眼差しを向ける。
イザベラの腕に絡めとられた聖騎士ルグランもまんざらではないようで、照れたような笑みを浮かべながらイザベラを見つめ返した。
「ああ、でも私……これ以上グラシアが強大化したら持て余してしまうかも? でもまぁ、グラシアの加護は強力なのにこした事はありませんものね」