《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
「あの、ユフィリア……その、婚約おめでとう」
そしてレオヴァルトは聖騎士の物言いに呆れた。
ユフィリアに負けじ劣らずの青くささ。
おまえは陳腐な恋愛小説に登場する当て馬役かとツッコみたくなる。
「………っ」
銀色のツインテールがくるりと宙に円を描いた。同時に、レオヴァルトの視界からユフィリアが消える。
レオヴァルトとイザベラ、ルグランは、唐突に背を向けて早足に遠ざかっていくツインテールの背中を唖然と見送る格好になった。
「あら? ユフィリアったら、どうしちゃったのかしら。きっとあんまり嬉しくて、ルグラン様の顔を見るのが恥ずかしくなったのね。えっと、あなたは黒騎士の……」
ユフィリアという標的がいなくなると、人差し指を立てて唇に寄せたイザベラは、今まで一瞥もくれなかった黒騎士に媚びるように首を傾ける。