《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
「………………レオヴァルトだ」
面倒くさいと思いながらも、ボソリと呟くように応えた。
レオヴァルトを上から下まで値踏みをしたイザベラは、ふぅん、と小さく鼻を鳴らす。
「あなた、黒騎士と言うからには魔力の使い手でしょう? 何だかとっても強そうだけれど、今後は教会に身を置く者の自覚を持つべきね。仮にも聖女の婚約者という立場上、もう少し《身なり》には気をつけなさい」
言葉が終わりに近づくほど、声色が冷ややかさを帯びていく。最後はまるで、立場の上の者が下の者にくだす命令のようだった。
「大聖堂一の美丈夫、聖騎士ルグラン様のようにねっ」
そうかと思えば聖騎士を見上げて甘ったるい声を放つ。
——なんなんだ、この女は。
レオヴァルトは終始無口を貫いていた。
こいつらに声を聴かせるだけの労力すら無駄であり、億劫だ——それでも。
レオヴァルトの眼裏には、今にも泣き出しそうなユフィリアの顔が浮かんでいた。
「イザベラとか言ったな。筆頭聖女だか何だか知らないが、私の身なりを諭す前にあなたも一端の聖女として、人の心の痛みを察する能力でも身につけた方がいいんじゃないか」