《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
それにしても、昨夜ユフィリアの部屋を訪れた時には、婚約宣告を受けるなんて話は聞かなかった。それどころか、今まで黒騎士の「く」の字すら会話に登場したことはない。
「ユフィったら、いつの間にあの黒騎士と……」
幼い頃から教会で共に育ち、お互いに何でもすぐに打ち明ける仲なので、グレースはユフィリアの生理周期まで知っている。ユフィリアが自分の事なら何でも知っているように。
ユフィリアの部屋を訪ねてみよう。
そう考えていたところに部屋のドアをノックする音がした。
慌てて扉を開けに走れば、いつになく頼りない親友の声が、ドア越しにかろうじて聞こえたのだった。
「グレース……私よ、ユフィリア。ちょとだけいいかな……」