《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
婚約おめでとう。
よそよそしく目を逸らせながらそう言った。
「容姿端麗で文武両道の聖騎士たちのなかでも、ルグラン様は目立ってる。聖都の女性たちはもちろん、聖女たちにとっても憧れの存在だもんね……イザベラに目をつけられても仕方がないかもしれない。でもひどいわ、ユフィだってルグランのこと……っ」
あれが『恋』だったのかは正直わからない。
けれど周囲に堅牢な壁を作るほど頑ななユフィリアも、ルグランには心を許していた。
心の霧を晴らそうとするように、ぎゅ、と目を閉じると。
ユフィリアはテーブルの上のグラスを取り上げて、半分ほど入ったワインレッドの液体をぐぐっと一気に飲み干した。
「ぷはーーーーっ!」
飲んだくれが酒場でエールを一気飲みするような飲みっぷりに、グレースは丸い両目を見開いた。お酒を飲んだわけでもないのに、ユフィリアの目がすわっている。
「ゆ、ユフィ?!」