《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
 
 レオヴァルトは思う。
 この強烈な暁光が、暗鬱とした心の影さえも消し去ってくれればいい。

 テーブルの上に置かれた騎士服の銀製の装飾が煌めいている。
 金属板で繊細に構成された艶やかな肩当てやゴーントリットが、陽光を反射して眩しいほどの光を放っていた。

 ——こんなもの。

 水も食事も、この華美な騎士服も。
 教会から与えられるものは全て、レオヴァルトの従者三人の命の上にある。

 水を飲むたび、食事を口にするたび……そしてあの聖女と関わるたびに、レオヴァルトの胸は軋み、救いようのない恐怖と嫌悪感とに悪寒が走るのだ。

『レオヴァルト様ッ、我々のことなど構わずお逃げください!』

 彼の豪快で屈託ない笑顔が好きだった。
 追われながら血走った双眸を見開いていたゲオルクの声を、もう二度と聞くことは出来ない。

 
 

 
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