《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
ローブとは名ばかりのボロ布は消え失せていて、代わりに重厚なローブがレオヴァルトの広い背中を覆っている。
埃ひとつない漆黒の騎士服に施された銀糸の刺繍と控えめな装飾品がしゃらりと鈍く煌めき、腰に巻かれたベルトには黒騎士の紋章を掲げる立派な長剣が携わっていた。
いったい彼に何があったのかと、ユフィリアは訝しげに目を細める。
———なんか、周りの聖騎士よりきらきらしてるんだけど……っ
ユフィリアを視界に捕えたレオヴァルトが、おもむろに身体を起こして近寄ってくる。眼《め》を細めて冷ややかな笑みを浮かべているのは昨日と同じだ。
「怠慢な聖女も、今朝は寝坊しなかったようだな」
黒灰色の髪の背まで伸びた部分を無造作にまとめてはいるが、昨日まで顔の半分を隠していた前髪が整えられている。そのせいで、彼の秀麗な面輪が白日のもとに晒されていた。
彫りの深い頬骨とまっすぐな鼻梁。
その下にある薄い唇が緩やかな弧を描いている。