《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
 
 目の前に立ちはだかった美貌の黒騎士を、顎に手を当てたユフィリアが首を傾げながらまじまじと見上げた。

「う、ん………?」

 思索《しさく》と才知《さいち》の輝きが宿る黄金の双眸がユフィリアを真上から見下ろしている。虹彩の揺らぎは穏やかでありながらも、内に燃える情熱を秘めているかのような瞳だ。

 レオヴァルトの細《こま》やかで整った顔立ちには、優雅さの中にも力強さがあった。

「えっと、これはどういう心境の変化かしら。髪を切るなんて失恋でもした?」
「するかそんなもの。髪は伸びすぎていたから切っただけだ」
「っていうか、なんで今日もいるのよ」
「婚約者だからな。おまえの付き添いは私の義務だ」

 ユフィリアが冷ややかに問えば、穏やかで艶のある声が頭の上から降ってくる。
 風貌が整えば声色すら整ったふうに感じてしまうのだから、不思議でならない。



 
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