《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
 
 遅刻を免れたため、ユフィリアも今朝は祭壇の前に並べられた長椅子に座ることができた。グレースの耳元に唇を寄せてこそこそと返事を返す。

「え……? ああ、うん、そうよ」

 聖騎士と同じ待遇を与えられたためなのか、レオヴァルトは大聖堂の壁際に沿って整然と立ち並ぶ聖騎士たちの中にいた。

「彼、目立ってるね」
「……悪目立ちしてるわね」
 
 真っ白な騎士服の波の中に、一点の黒い騎士服が浮かぶ。
 砂糖の中に黒蟻が混ざっているみたいだと、ユフィリアは目を背けた。
 
「そうじゃなくて、あれは良い方の目立ち方よ」

 見れば、グレースが推しの役者でも見るように目を輝かせている。

「レオヴァルト様、素敵じゃない……!」

 あろうことか、グレースは黒騎士に《様》なんて敬称を付け始めたようだ。




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