《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
ユフィリアの手のひらの上に小さな丸い光の粒が現れる。シュルシュルと音を立てながら青白い光は次第に大きくなった。
そのうち、ぼわん、と一気に成長したかと思うと、手のひらに収まりきれなくなった光がぱあっと弾け飛ぶ。
フィリアのたっぷりと長く美しい髪が、冷気をはらんだ青白い風に大きく靡いた。
弾けた光に包まれたユフィリアは、もはや夜着姿ではない。
煌《きら》めく銀糸の刺繍が美しい純白のローブを纏い、意思の強さを放つ瞳を凛然と見据えた《月夜の女神》が立っていた。
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「ポメラ、急いで……今夜は雨が降りそうよ」
焦り気味の声に応えるように、ユフィリアを背中に乗せた巨大な銀狼——ポメラは、ちら、と背中に視線を送る。