《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
「はぁ」と小さく息と吐き、食堂の中央に円形に備えられたサーブスペースへと足を早める。食堂はガラガラにすいていた。
サラダバーとスープバーに並ぶ食材はすでに残り少なかった。教会で振るまわれる食事はそもそも最低限の粗末なもので、マッシュポテトか硬いライ麦パン、メイン料理はわずかな鶏肉が主である。なので野菜だけはしっかり摂っておきたいところだ。
「急がないと。夕食の時間、終わっちゃうわよ」
ユフィリアの隣でサラダ用の野菜を皿に盛り付けながら、ナディアはなおも続ける。
「レオヴァルト様、幼子の扱いに慣れていらっしゃる様子でした。小さい子がお好きなんでしょうね。おふたりの間に子供が生まれたら、間違いなく良いパパになってくれそうですぅ……!」
レオヴァルトが彼にそっくりな赤子を猫なで声であやす様子がふと目に浮かび、「ぐふっ」と咳き込んでトングでつかんだ野菜を落としてしまう。頭痛がまたズキンと脈打った。