《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
ユフィリアには覚えのない声だった。
こんな男、大聖堂《ここ》にいただろうか。
ユフィリアは痛みに耐えながら男の顔を確かめようと目をすがめる。

「何者……………っ」

黒地の職服は色褪せていて、足元に垂れる重厚なローブはまるで戦争から戻ったばかりのように汚れ、くたびれている。
ローブで隠れているが、腰元に携えた革製の頑丈そうな剣の鞘が見える。男の瞳と同じ色のブローチがローブの胸元できらりとかがやいた。

——黒騎士の紋章……! でも、どうして

穢れた存在の黒騎士が、神聖な場所になぜ堂々と立てるのだろう。
神への冒涜にあたるのではないかとユフィリアは訝った。



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