《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
イザベラも彼女の取り巻きの聖女たちとも極力関わりたくはない。反射的に目を逸らしたが、めざといイザベラがユフィリアを見過ごすわけがない。
「あら、あなたたち。随分と遅いお戻りね?」
案の定、声を掛けられたが、ユフィリアは聞こえなかったふりをした。
慌てたふうにイザベラに頭を下げるナディアに、ユフィリアは「先に行きなさい」と目配せをする。
「ひ、筆頭聖女さま、ごきげんよう……っ」
空気を察したナディアが、身を低くしてイザベラたちの前を通り過ぎた。
ユフィリアを気にして振り返るので、「いいから行きなさい」と視線で促す——イザベラの前を、ユフィリアが何事もなく通り過ぎられる筈はなかった。
「そうだわ、ユフィリア。あなたに話しておきたいことがあるの。こっちにいらっしゃい」
優雅に手招きをするイザベラは、目を細く眇め、口元に冷たい薄ら笑いを浮かべている。