《新作》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
愛おしい真実
「あなたの婚約者のことだけれど」
そろそろ来るだろうと思っていたが、やはり来た——ユフィリアの予想通りである。今日はどんな泥水を浴びせられるのだろうと身構えた。
媚びるように首をかしげながら、イザベラは言葉を続ける。
「彼って……本当にあなたにふさわしいのかしら? 私にはそう思えないのだけれど。《きれい》で《優しく》て《勤勉》で《優秀》で。それに《誰からも愛されている》あなただもの。あのような無粋で身体が大きいだけの男性の手に余るのでは? もっと言えば、あなたの『真面目さ』があの黒騎士には重すぎるかもしれないわね。ねぇ、皆さんもそう思わない? ユフィリアに彼はふさわしくないって」
イザベラが取り巻きに同意を求めると、案の定ニヤニヤしながら揃って首を縦に振る。
「誰の話をしてるんだか。よくそこまで思っていることを真逆に言えるものね」
「あら、誰って、あなたとあの黒騎士のことよ。決まってるじゃない。素直に褒めているのよ? そっか、あなた褒められ慣れていないから、そう言うふうにひねくれた考え方になってしまうのね……可哀想に」
イザベラは軽く肩をすくめ、ため息をつくように嘲笑する。