《連載中》波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!
咄嗟に出てしまった嘘偽りに薄ら寒くなったが、いつもなら何を言われても反応を示さない無能聖女の思いがけない反論に、取り巻きの聖女たちは怯んだようだ。
イザベラはびくりともせずに続ける。
「まあ……随分と自信満々なのね、微笑ましいこと! でも彼のあの眼差しがもしも《《他の誰か》》を映すような事があったら。あなたは《《また》》信頼していた男性に裏切られることになるのよ? そんな辛い想い、《《私だって》》何度もさせたくないもの。だからそうなる前に、自分からさっさとお別れしたほうが身のためだと言っているの」
まるでレオヴァルトがイザベラに惹かれるとでも、自ら宣言するような言いぶりだった。ユフィリアも負けずに皮肉を込めて言う。
「イザベラは本当に優しいのね。でも意外だわ……教会の誰もが一目を置く筆頭聖女様が、《不粋で身体が大きいだけの男》の気を惹きたいなんて」
「わっ、わたくしがあの黒騎士の気を惹きたいですって?!」
「誰も黒騎士だなんて言ってないけど」
「か、勘違いをしないで頂戴。わたくしはただ、哀れなあなたの事を心配しているだけよ」
イザベラのアメジストの瞳が揺らぎを見せたのを、ユフィリアは見逃さなかった。
「それに……イザベラなら知ってるかしら? 私がルグランと一緒にいた頃、レイモンド卿がルグランに持ちかけた滞在所設営の話よ」