晩夏に出会う線香

三本目:一つの終わり






「なぁ、蛍。別れよか」



 7月、5月の時と同じように、誰もいない放課後の教室で言われた。



「いいよ」



 未練とかがない訳ではない。

 私達が今まで過ごしてきた2ヶ月間、何か恋人らしいこととしたわけではない。

 簡単にいうと、友達程度のものだった。

 彼が別れたいと言うのなら、それに答えてあげるしかない。

 すると、真くんは、苦しそうに顔を歪めた。



「ありがとうな、蛍」



 どうしてだろう。

 どうして……。

 こんなに胸が痛いんだろうか。



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