晩夏に出会う線香
「一年位前の話やな。医者から言われたのは。本当はな、5月ぐらいからはもう入院せなアカンかったんよ。けど、やめた。なんでか分かる?」
首を横に振ると、真くんは苦笑いをした。
「蛍のせいなんやで?
「私?」
彼は首を縦に振ると、話の続きをした。
「蛍に告白して、付き合ってから、毎日楽しかったんよ。俺の彼女が笑ってくれる。そう思ったらな、意地でも学校行きたかったんよ」
「……」
「けどな、それも出来んくなってきてな。もう後1ヶ月もない言われて。残り少ない命に、可愛い彼女に寂しい思いさせたくないやん?」
「バカじゃないの?」