晩夏に出会う線香

四本目:儚く灯る






「蛍」

「真くん……」



 8月、お医者さんになんとか外出許可を貰い、2人で花火大会に行くことになった。

 真くんは黒い浴衣に白い帯を締めていて、とてもカッコよかった。

 相変わらず頬は痩せこけていたけど、そんなの関係ないくらい、カッコいいと思った。



「蛍、お前さん……別嬪さんやな」

「なっ!?」



 先に私が言おうとしたのに、先に言われてしまった。

 思わず体が熱くなり、足の先まで赤くなったのが分かる。

 今日のために、浴衣を出しておいてよかった……。





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