晩夏に出会う線香
___ジジジッ___
ライターをつけると、花火の先端に紅く丸い火の元が燃えた。
お互い、火を落とさないように黙っていた。
「なんで蛍のこと好きになったか、覚えとる?」
突然、真くんが尋ねてきた。
「確か、髪型が好きだったからだったよね」
「よう覚えとるな」
笑う彼に、私もつられて笑った。
「本当はな、違う理由なんよ」
遠い目をする真くんに、首を傾げる。
私は特別スポーツができるわけでも、勉強もできるわけでもない。
クラスの中心にいるわけでもなく、普通の女子高生だと思う。
だから分からない。
なんで私を選んだのか。