《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

畑仕事は辛くないけれど、せめて自分にも何らかの『能力』が備わっていれば、父親をもっと楽に働かせてやれていたかも知れない。

恵まれた者たちは、ある種の『能力』を持って生まれて来る。
それは世襲性をもち、『能力』の備わった両親のうち強力性のある性質が子に継がれるとされている。

雷、風、土、光……それらの種類は多岐にわたるが、いづれにせよ『能力』を持つ者たちはこの世界で優等とみなされ、持たない者たちは劣等……能力者でなければ生きづらい世の中だ。

白い雲がのんびりと、澄みわたった空に流れて行く。
あの雲が向かう先に広がる世界。
セリーナが見たことのない、煌びやかな『帝都』。

人びとが他所行きの服や装飾品で着飾り、食事を提供する飲食店が軒を連ねる。
立派な建物や商店がそびえ立ち、傍らに豪奢な馬車が行き交う……母からもらった絵本に、そんな街を舞台にした物語が描かれていた。


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