《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

——《《あの》》アベルが?! 私に、何の用だろう。

心の底から(いぶか)しんだ。
村で一番の美丈夫からの手紙だなんて、想定外すぎて耳を疑ってしまう。

夕食の片付けのあとすぐ部屋にこもり、恐る恐る手紙を開けてみた。
内容が気になって、せっかくの食事がほとんど喉を通らなかった。

『セリーナ、君にずっと伝えたかったことがある。水曜日の午後三時、役場裏の薔薇庭園に来て欲しい』

高価な白い便箋に丁寧に書かれた文字が並んでいる。
しかしアベルは一体、どういう心づもりだろう。

村中の若者たちから蔑まれているセリーナをわざわざ呼び出してまで伝えたいことなんて、頭の中をどうかき回しても思いあたらないのだった。



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