《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

気付けば駆け出していた。
エライザや取り巻きの子たちは、いったいどんな顔をしてアベルと自分のやり取りを見ていたんだろう?

そして何よりも、いい歳をした大人だというのに、なんて稚拙(ちせつ)なんだろう。
誰の顔も見たくない、ここにはもう一秒もいられない。

——『こんな(ところ)』にもう居たくない……!!


薔薇園を抜け、表通りに出るとすぐ傍に役場がある。
衝動的に役場に駆け入り、和やかに談笑している最中の村長に向かって叫んだ。

「出願書類をください!」



< 23 / 77 >

この作品をシェア

pagetop