《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜
彼女はあからさまに目を細め、馬鹿にするようにセリーナを睨めつけた。
「器量良しの村の子たちが何度出したってダメなものを、あなたが?!」
そして笑った。
含み笑いが次第に大きくなっていくのを、セリーナは胸を裂かれる想いで聞いていた。
ひとしきり笑ったあと、彼女の口から吐き捨てられた言葉は——。
「ばっかじゃないの?! 《《あなたなんか》》、何にもなれるはずがないじゃない……!」
すっかり消沈したまま家に帰った彼女を待ちうけていたのは、呑気な母親の抱擁だ。
セリーナの母イリスは根っから天然な人で、何と言うか、気立は良いが空気が読めない。
「アベルと会ったんでしょう! 彼はなんて?!」
セリーナの顔色なんかそっちのけで、嬉々とはしゃいで美しい面輪を輝かせるのでほとほと困ってしまう。
——お母さん、今は聞かないで……