《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜
「ア……アベルったら、エライザのことで相談があったみたい……で」
泣きたい気持ちを必死でこらえ、青ざめたまま『笑顔』を取り繕えば、母イリスは艶やかな白金の髪を頭の上にくるりとまとめ直し、再びかぼちゃを切り始める。
「エライザの事って、またどうしてあなたに?」
肩越しに振り返り、丸いエメラルドグリーンの両眼を大きく見開いて首をかしげる母親は娘の目から見ても若々しく、愛らしい。
だけど。
——お願いだから……!
「あら?!」
イリスの長いまつ毛が揺れ、娘が抱える大きな封筒に視線を落とした。