《新装・R15版》夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました〜蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜

「お母さんごめんなさい。私は、ずっと私のまんまなの。だから一生家族と共にこの場所で生き、そして死んでいくだけ——」

狭くて薄暗い部屋の天井を見上げる。
涙がこれ以上こぼれ落ちないように。

——この小さな世界が、私の生涯。


数日後。
父とともに畑仕事を終えたセリーナはふと思い出す。
夕日は既に落ちていた。

そう言えば使用人の公募、今日までだった。
これで良かった……良かったのだ。

家に入ると、満面の笑顔を浮かべたイリスが言葉を放った。

「セリーナ、おかえりなさいっ。忘れていたみたいだから、出願書類、代わりに書いて出しておいたわよぉっ!」




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